Number674



今月はスポーツにまつわる本を読むことにしている。
二宮清純の話を聞いてから
普段、何気なく見ているスポーツの世界
学生の時は、自分の持てる力の多くを
注いできたスポーツ。


しばらくその場に向き合うことから離れ
日々の生活と出来事と向き合う毎日。


現実の世界を感じることのできる
ただ唯一のもの、自分の肉体。


そこに生じる思いは人間をどう変えていくのか。


最近イチローが変わったと言われる。
そんなエピソードを示すインタビュー記事があった。

話に花が咲き、贅を尽くした鮨をたらふく食ったあと、イチローはおもむろに王監督に訊ねた。
「現役時代、選手の時に、自分のためにプレーしていましたか、それともチームのためにプレーしていましたか」
イチローは訊ねた直後、ドキドキしていたのだと言った。
「答えを聞くまでのちょっとの間、僕の中で緊迫しましたよ(笑)。ああ、聞かなきゃよかった、という結果だって考えられるわけでしょう。僕はあえてそこを訊いたわけで……」
王監督は即答した。「オレは自分のためだよ。だって、自分のためにやるからこそ、それがチームのためになるんであって、チームのためになんていうヤツは言い訳するからね。オレは監督としても、自分のためにやっている人が結果的にはチームのためになると思うね。自分のためにやる人がね、一番、自分に厳しいですよ。何々のためとか言う人には、うまくいかない時の言い訳が生まれてきちゃうものだからな」
イチローは小さな声で「ありがとうございます」と言って頭を下げた。
・・・・・


中田英寿と比較されるイチローはいつまで現役を続けるのだろう。
サッカーではカズがすでに40歳を迎えている。
野球では39歳の桑田が海を渡った。


挑み続けることは美しい。
新しい舞台を探し求めることもまた美しい。


いずれにしても生きていくことが
どうあるのかという違いなのかもしれない。