まちづくりと景観

まちづくりと景観 (岩波新書)

まちづくりと景観 (岩波新書)

まず最初の章に小布施と横浜の紹介がされている。
そのあとは、景観について話されている。


小布施のことはおいておいて
「街を美しくしようなんて、けしからん」
著者の田村さんが横浜市役所で働いていた際に
建設省の方に、本当にいわれたことだそうです。


そんな時代もあったのだと思い
今が良くなっているかというと
そうでもない。
美しくすることも認められてきているけれども
醜くすることも認められてきている。


ようするに、価値判断の基準がない。
アメニティの本来の意味
"right thigns in the right place"
は何となくしっくり来ていいと思う。


いくつか、歴史上の景観に関する
考え方が紹介されているのが
おもしろかった。

今では信じられないが、昭和の初めに好ましい未来の都市像として描かれたものに、煙突が乱立し黒煙をもうもうと吐き出している絵がある。(p.50)


C・ビアードは「日本の都市の大きな欠陥は、都市全体についての統合的な責任を持つ機関が存在していないことだ」と指摘している。(p.68)


産業資本の勃興期に、いち早く都市美をメインテーマにしたのは、19世紀から20世紀にかけて展開されたアメリカのシティ・ビューティフル運動だ。(p.83)


ルイス・マンフォードは「人間は自分で斑点を変える術を知った豹である」という警句を述べた。「人間は自然の改造者だ」という意味だ。(p.85)


「都市の美醜は市民の心」
この標語は、都市美協会が大正年間に行った市民募集による標語だった。(p.131)


「ぼくのおうちも景色のひとつ」
昭和のはじめ、東京市が募集した標語だ。景観を皆で意識しようと上手に言っている。(p.136)