ニッケル・アンド・ダイムド
- 作者: B.エーレンライク,曽田和子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2006/07/28
- メディア: 単行本
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三浦展さんに紹介されていた本。
目に見えるファスト風土の中身は
貧困とは認識されていない貧困。
フルタイムで働いても、衣食住に
十分なお金を稼ぐことのできない
あまりにも多くの人たち。
これは、ちょっと酷いなどというものではない。
マスコミで紹介されないものは
目立つことのない現代社会。
日本にはどのくらいいるのだろう。
ビジネスの世界では
キャリア・アップなどと呼ばれても
その影には、抱えきれずに捨て置かれる
努力できない人たちがきっといる。
仕事を始めるときにはあまり気づかないことだが、自分の時間を切り売りするつもりでいたのに、実際に切り売りするのは、自分の生活であり、人生そのものなのだ。
力や富を持った存在−会社や店主−とのあいだに一体感を演出するのは、馬を走らせるための「ニンジン」にすぎない。そしてそこには、鞭もある。低賃金の職場で私が最も驚き、また不快に思ったのは、基本的人権や(突き詰めればおなじことだが)自尊心を、かなりな程度まで放棄させられることだった。
経済政策研究所は最近、最低生活ができる「生活賃金」はいくらなのかという研究をいくつも調べ、大人1人と子供2人の家族に必要なのは、平均で年3万ドルという額を割り出した。時給でいえば、14ドルということになる。
ショッキングなのは、アメリカの労働者の過半数、およそ60%に当たる人たちが、時給14ドルより低い賃金で働いていることだ。
権利とか尊厳という言葉は好きじゃないから
あまり使いたくない。
現実には、そんな言葉を使わなければ
前向きに生きて行くことさえもかなわない人たちが
アメリカにも多くいるのだと。
まずしい、アフリカやアジアの
発展途上の国ではなく
世界でいちばん豊かだと考えられているアメリカに。
日本にはどんな人たちがいるのだろう。
この状況を改善しうるビジョンはないものか。