東京物語



日本が世界に誇る映画監督、小津安二郎
彼の代表作である「東京物語」、1953年の公開

小津安二郎 DVD-BOX 第一集

小津安二郎 DVD-BOX 第一集



DVDの冒頭に“OZU生誕100周年”と出てきたので、
この映画はいつごろ作られたのだろうかと考えてみた。
時代的には戦後すぐの昭和28年
戦時中も映画を撮り続けているようだったから
ものすごい時代に生きていた人なんだ。


小津安二郎の存在を知ったのは、大学で建築をやっている時
座った目線で撮影する小津安二郎の作品における空間の構成と
展開が論じられている評論を読んだ。
もちろんそれは、建築にかかわるものであった。
その時、この人が大した人なのだとということも知った。


それからもう大分経って、ようやく見ることができた。
あらすじもどこかで読んで知っていたし、
あ〜これがカメラの視点が違うってこと、
などと思いながら見ていくのである。


それで一つ驚いたことは、見ていて飽きないのだ。
ちょっとした人情ものは、えてして飽きやすい。
とぼくは思っている。
リアルでなまなましい人間の感情をカメラを通して
表現するのは、ものすごく 難しいだろうと。


少し前の記事の「明日の記憶」もいい映画だとは思う。
けれども、主人公の内面を表すため
「そうせざるを得ないのかもしれない」と思ってしまう
部分がいくつもある、あの渡辺謙でもそうなのだ。


でもこの映画は、全然飽きなかった。
物語の中心である親と子の日常的な出来事も
たった今も起こっていそうなことだ。
50年前に、すでにこんな社会が進行し始めていたのかと
思うと残念でならない。
一方であ〜昔はよかったんだなと思わせられる場面も多々ある。


50年以上かけて、悪くなった社会をよくするには
最低100年ぐらいはかかるんだろうなぁと思う。