超・美術館革命

超・美術館革命―金沢21世紀美術館の挑戦 (角川oneテーマ21)

超・美術館革命―金沢21世紀美術館の挑戦 (角川oneテーマ21)



金沢21世紀美術館の館長を勤められた蓑豊さん。
名前が2文字というのもなんだか親近感を感じる。


妹島和世さんが金沢のコンペに勝って、設計が建築雑誌などに
取り上げられたのはまだ学生のときだった気がする。
オープンは2004年10月とあったから、まだできてから3年。
実家から近いこの美術館には、それでも3回ほどおとずれている。
そんな自分も、楽しい美術館という蓑さんのマジックに
捕まってしまったのかもしれない。


確かに、建物だけを見れば歴史的な街、金沢にあるということで
意味があるとも言えるし、テクスチャーのない薄っぺらいもの
という言い方もできる。
この人の「美術館は市民の応接間」という言い方は
とてもシンプルですばらしい。
たくさんの人を呼んで、いろんな人に楽しんでもらうには
そういうのが必要だと思し、自分の街に誇りを持たせるように
働き掛けていることがすばらしい。


もう一つ、美術館の中に張り紙が何もないというのもステキだ。
まずは、建築の価値を十分に理解していなければできない。
利用者の不便さを違う価値観で超えていく覚悟も必要だ。
最近は公園の砂場にも網が掛けられたり、犬の散歩は禁止、ボール遊びも禁止。
おまけに、道端の落ち葉とともに苦情がたまり
胡桃や栗が落ちてくれば怒鳴り込んでくるような人がいる。


本当はバカじゃないのと言いたい所を
具体的に楽しんでもらいながら、実行している所はすごい。