中西元男 小布施ッション74

今回の小布施ッション。ゲストスピーカーは中西元男さん。
ブリジストンINAX松屋銀座などのブランドデザインを
手がけたPAOSというグループを立ち上げた。


お話の冒頭でバウハウスに刺激を受けたことから
桑沢デザイン研究所で山田脩二さんたちと同年だったことなどを話された。
特にヴァルター・グロピウス[Walter Gropius]の
「デザインはあらゆる分野の共通公分母である」
という言葉には強く触発されたそうです。


そんな中デザインを学びながら、デザイナーが美しいカタチを描いたり
モデルを作ったりすることはできても、現実にそれらを製造・販売したりする
意思決定者は、企業などのトップであることが多く、
これらの意思決定者に理解されるデザイン理論や手法を生み出すことも
重要な仕事ではないかと考え始めたとのこと。


お話の中でも、自分自身のデザインについて語ることは出来ても
「デザインとは何ぞや?」という問いに答えられないデザイナーが
あまりにも多いと嘆いていました。


ベネッセや松屋銀座INAXなどの事例を話される中で
画面に映し出された膨大なメモや、フローなどは
その物量を見るだけで圧倒的な何ものかを感じさせるものでした。
本来的には、デザインも地道な作業の積み重ねから生み出される
モノなのだと思います。さまざまなヒアリングや検討、ビジョンの共有から
外へのアプローチの手法、ビジネスモデルなど入念かつ地道な作業の積み重ねから
アウトプットされるものをこそデザインと呼ぶべきなのかもしれません。


目を引くアウトプットや、そのアプトプットを生み出す瞬間的な作業のみに
関心を持っているのが現状なのかもしれません。
私自身も小布施で働きはじめて、小布施の奥深さを感じる日々です。
その膨大な歴史と知のが埋蔵されていてこそ、豊かなものを芽吹かせることが
出来るのでしょう。
「あるものを如何に引き出すか」という点にばかり目が行き
「あるものを如何にあふれさせるのか」という見方のほうが
重要なのだろうと思います。